一般財団法人アーネスト育成財団

HRM研究会

2016.7.23 準備会合(第1回)

打ち合わせメモ (694KB)

2016年7月23日、財団にてHRM研究会準備会合(第1回)を開催した。
小平和一朗専務取締役から設立の経緯が報告された後、当面小平が座長を務めることを決め、準備会合で研究課題を整理することを決め議事に入った。

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加藤恭子芝浦工業大学大学院准教授(右から3番目)は「経営学でいう両利きとは、知の深化(exploitation)と知の探求(exploration)をバランスよくできることを指す。グローバルな企業はおそらく、この両方のバランスをとるために腐心する中で、自然と目が日本国内だけでなく世界に向けられているのではないか。こうした意味からも、グローバルというのは目的でなくて、両利き経営を実現するためのプロセスで発生するものだと思う」と講演した。右から馬場康志、西河洋一、左から前田光幸、杉本晴重、淺野昌宏。

グローバル人財の配置(小平和一朗)

4つの組み合わせ(図1)でグローバル人財の配置を考えた。人財に要求されるスキルが企業のグローバル状況に応じて異なる。
図1の(1)のGA1は国内に本社があって外国人の役員がいるケースである。このケースはグローバルの第一歩である。
考えられる一つは、社内共通語と社内資料などを全て英語にしてしまうケースである。英語化で効率が落ちないかの疑問があるが、「英語が分からなければ、この会社では仕事が出来ない」というコンセプトは作れる。
次は、日本語の分からない外国人の役員がいても日本語のままでいくというケースで、日本企業であれば、これも自然である。外国人の社員が増えてきたら英語化を考えるべきだろう。
役員に外国人がいるケースが、事件が起きて分かった。武田薬品CFOのフランソワ・ドジェ氏が突然食品大手のネスレのCFOに転身するという日本経済新聞の記事だ。07年にはトヨタ自動車のジム・プレス専務が米クライスラー副会長・社長に転身しているし、2014年に日産自動車のヨハン・ダ・ネイシン専務執行役員がGM「キャデラック」部門の社長に出たり、2014年には日産自動車のアンディ・パーマー副社長が、英アストン・マーチンのCEOに突然移籍したと報じる。
以上の報道をみると、既に日本企業は早くから役員レベルでグローバル人財を登用していることが分かった。
しかし、気になるのは、多くが競合社に転職していることだ。ノウハウや情報が流出していないかが心配である。

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「グローバル展開の状況に応じて人財の配置を 行う必要がある」と話す小平専務理事

図1

図1 グローバル人財の配置

グローバルな組織・人材(加藤恭子)

お話しいただいた時からずっと考えていた。グローバル企業とか、グローバル人材であるということは一体どういうことなのか。そもそもグローバルって何かということへの疑問である。
グローバルであることが、会社にとっての目標でも、長期計画でもない。グローバル化は通過点で、グローバル化に乗り遅れるとか、遅れないとかにやきもきしていることが、何かを見失っている。
グローバル化の究極の目的は、イノベーティブな企業や組織になることだと思う。

両利きの経営

経営学では何と何が両方上手にこなせることを表しているか。経営学の両利きとは、知の深化と知の探求をバランスよくできることを指す。(図2)
知の深化とは、既に知っていることの活用であり。持っている技術をより良い技術にしていくということ。知の探求とは、新しい知を探していくということ。
日本の企業全体が深化の仕事に追われてしまっている。企画部門の長であれば、部下がどのような行動をしているかを掴んで、探究の仕事に取り組めるような時間を作っていけるようにすることだ。
組織として、人財として、これからの世界は、知を上手く扱えた企業や人材が勝っていける。方法は2つあって、一つは知をいかに沢山集められるかである。もう一つの知の勝者になれるのは何かというと、いかに知を繋げられる人財になれるかということだと思う。
知をあつめられるか、知を繋げられる組織になれるか。知を集めたり、知をコネクトする人財をいかに集められるかだと思う。

図2

図2 両利き経営(深化と探究)

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