西河技術経営塾 実践経営スクール・基礎コース 3期生

報告4 第3期生 修了式

技術経営人財を育成する

西河技術経営塾実践経営スクール・基礎コースは、若手経営者向けに基本的な経営の基礎知識の修得と創生力の鍛錬を行う技術経営に関するビジネススクールである。
また、モノづくりやコトづくりに関する豊富な経営経験や技術経営研究をしてきた講師陣が指導に当たっている。実践的な技術経営学を学び、演習では、塾生が抱えている現状の経営課題に取り組むスクールである。
平成28年5月25日に、第3期生4名の修了式が執り行われた。平成27年の9月2日を第一回とし、計32回スクールが開催された。

修了要件は、報告書を審査し決定

西河技術経営塾修了に当たって塾生が書いた研究報告書(論文)を審査委員が採点し、修了レベルにあるかの確認をしている。ここでは、塾生が書いた報告書の概要を塾で学んだことを中心に紹介する。

集合写真

西河技術経営塾3期生の修了にあたっての記念写真。前列左から、上川晋一郎、渋谷加津美、西河洋一塾長・理事長小泉厚子、瀧川淳の塾生4名、後列左からは講師陣で、淺野昌宏、大橋克已、小平和一朗、杉本晴重、前田光幸。
平成27年9月2日に始まった西河技術経営塾、5月25日の修了まで32回ほぼ全員が休まず通ってくれた。
上川と瀧川の2名が皆勤。塾で学んだことを糧にして、これからも社会に役立つビジネスを創生してくれるものと期待している。(後日3期生として修了した松井美樹は、修了式の日に米国出張)

【瀧川 淳塾生:修了式での研究ノートの報告】

要素技術の事業化とエンジニアリングブランド
(シーズ志向のビジネスモデルでの潜在ニーズの掘り起し)

技術ベンチャー、エヴィクサーを大学卒業(03年)と同時に創業、IT分野を主としたサービスの企画・開発・販売を行ってきた。08年頃、新規事業として音響信号処理技術の事業化に取り組む。
取り組んだビジネスモデルの構築過程を時系列で報告した。このビジネスモデルは、要素技術の事業化で、シーズ 志向の取り組みである。シーズとはいえ、潜在ニーズの掘り起こしや、顧客ニーズとの摺り合わせ過程で意識した エンジニアリング・ブランドにふれる。
ニーズが顕在化していない技術の事業化の困難さについて報告した。この困難さを否定出来ないが、事象を当事者の立場で注意深く認識、関係者間でコミュニケーションすることで死の谷を作らなくできる。それは、顧客ニーズおよび顧客価値との摺り合わせの効率化など、技術経営における事業化スピードを高めることで実現できる。
技術経営やエンジニアリング・ブランドの構築を成功へと導くカギは、演繹的にも、帰納的にも、ビジネスモデルを明確にすることである。

瀧川淳社長

修了式で優秀賞を受賞したエヴィクサーの瀧川淳社長、
成績も優秀であったが休まず皆勤。

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【上川 晋一郎塾生:修了式での研究ノートの報告】

差別化の難しい市場での戦略経営
(零細企業が規模拡大を目指すためのスピード経営)

お金をたくさん儲けて、一人でも多くの貧困に苦しむ子供達を救うための慈善事業がしたいという夢を叶えるため通信サービスを販売する営業アウトソーシング会社を04年に設立し10年経った。
西河塾では、学んだことを翌日は実践する繰り返しで、期待を大幅に上回る成果が出た。
取り組んでいる販売の仕事は、成績が明確なため、成績いかんで仕事に合わないと社員が辞めてしまい、その大切な 人財が失われる。仕事が楽しくなり、結果を出すには本気で仕事に臨み、真剣に取り組む姿勢と心構えを教育してきた。
経営とは、人、物、金、時間、情報をコントロールして、収益を上げる。収益こそ社会貢献の証しである。利益率よりも回転率重視しスピードを早めることで、規模拡大ができるが、その時、闇雲に規模拡大をせず、人材の質と教育を落とさずに上げていき、常に改善すること重要である。

上川晋一郎

「スピードは重要である」と語るDSP社長の上川晋一郎

【小泉 厚子塾生:修了式での研究ノートの報告】

女性が安心して暮らせる街づくりを目指して
(あつまる不動産の理念を地域に定着させていく取り組み)

12万件以上ある不動産賃貸業者は、学生専門、外国籍対応などの自社ブランドを構築しているが、女性専門を自社ブランドとして構築している賃貸業者は少ない。女性借主は、女性スタッフに対応して欲しいと考えているが、営業職の男性は10万人以上いる中、女性は1万人以下と1割程度。単身女性借主に部屋探しを通じて防犯知識を伝えると共に女性が安心して暮らせる街づくりを理念とした不動産賃貸業(客付業)を開業した。
塾で学んだ事は、個人事業主の意識を脱却し、会社として組織を形成する事である。
更には、経営理念の「女性が安心して暮らせる街づくり」は、客付業だけでは成り立たず、元付に参入し、貸主にも女性のニーズを理解して貰い、借主・貸主が共に防犯の意識をもち、理解し合いながら実現に近づける取り組みことの必要性を塾長からのアドバイスもあり、学ぶことができた。

小泉厚子

高円寺にある、あつまる不動産代表の小泉厚子

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【渋谷 加津美塾生:修了式での研究ノートの報告】

顧客と取り組むサービス視点に立ったコトづくり
(新たなモノづくりの技術開発課題が見えてきた)

約30年間、通信事業者向け監視装置や通信機器の開発に従事してきた。現在はタムラ製作所で新規事業創生をマネジメントする地位にある。現状の市場が縮小均衡に向かう中、事業の成長のためには次世代を睨んだ新規事業を創生しなければならないが、技術志向で考えると特定顧客を向いたビジネスしか取り組めなかった。
技術経営を学びビジネスモデルを整理し、セグメンテーションが明確かを検証し、事業の中長期計画を立案し、既存商品の長期展開を考えた時、本当に既存顧客の潜在需要に応えられているかという疑問を持った。
サービス・イノベーションによる新規ビジネスを学び、顧客の中に次世代のニーズが隠れていることを知った。顧客が必要としているサービスの現場に3現主義を心掛け立ち、顧客と会話し、得られた情報を検証することで顧客の中の次世代ニーズが見えてきた。
事業を成功させる手段など身につかないと思っていた。講義を受け演習に取り組み、諦めなければ成功できるという不思議な自信が湧いてきた。

渋谷加津美

「諦めなければ成功する」を学んだタムラ製作所の渋谷加津美

【松井 美樹塾生:修了式での研究ノートの報告】

技術経営志向を取り込んだ事業開発
(事業創出に導くための技術の役割とアプローチ)

筆者は、文系の大学を卒業した後に、日本電信電話株式会社に入社、入社5年目頃から事業企画、新規事業開発に従事。退職後も外資系および日本企業の事業開発の仕事に従事した。技術に関わる事業創出の仕事に取り組んだ。
2011年に北陸先端科学技術大学院大学に入り、サービス経営を修了した。大学院では、学術的に俯瞰することはできた。より実践的に自分が取り組んでいることを学びたいと考え西河塾の門を叩いた。その時点では、技術経営という点に対して意識してなかった。しかし塾で技術経営論、技術と市場の関係について学び、事業戦略の中での技術の役割が見えてきた。
考えが変わる契機は、西河洋一塾長の講義であった。アーネストワンの家賃並みのローンの支払額でマイホームを実現するためのビジネスモデルは衝撃的であった。
相場の6掛けで1棟を造ることは資材の調達などの工夫だけで達成できるレベルではなく、実現のために工法などの技術開発が必要であったことが分かった。
技術革新なくしては実現できなかったことで、大きな事業を手掛けるためには「技術開発」を視野に入れて考えなければいけないことが理解できた。塾長は「工期を短縮することで、コスト削減と資金繰りの改善ができた」という。

松井美樹

ザクティ新規事業開発室の松井美樹

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