一般財団法人アーネスト育成財団

西河技術経営塾 実践経営スクール 7期生

報告2 「技術経営学」として整理

知見を学び、演習で自社の経営に生かす

2019年10月16日(水)の演習では、『経営』というテーマで西河洋一塾長が取り組んできた技術経営について講義があった。「経営は、人、物、金、時間をコントロールして、広く社会に貢献すること」「経営者は常に正直でなければ成らない」「企業は、社会から必要とされる商品やサービスを開発し提供し続けなければ成らない」「企業は収益を上げ、国のために納税を行わなければ成らない」。

西河「技術経営学」の特徴

3月に芙蓉書房から出版予定の『西河「技術経営学」入門』の中では、西河技術経営塾が取り組む代表的な5つの特徴を西河「技術経営学」の特徴として整理している。(図1)
経営を常に支えている技術の存在を学ぶことで、未来を見据えた戦略的経営に取り組めるとし、技術経営とは、会社の未来を切り開く、未来学であると説く。
更に、コトづくりでもモノづくりでも、エンジニアリングが経営を支えている。企業理念、ビジネスモデル、中長期計画、市場創出は、エンジニアリングと関わり合いをもって機能している。エンジニアリングは経営を支える具現力であり、切り離すことはできないと整理し、経営とエンジニアリングといわれる技術との関わり合いの中で経営オペレーションが行われると説明する。

西河「技術経営学」の特徴

  • 明日に役立つ実践的な技術経営を学ぶ。
  • エンジニアリング・ブランドを学び、
    技術と市場との繋がりを学ぶ。
  • イノベーションと言われる変革をつくる
    マーケティングを学ぶ。
  • 「お金は企業の血液である」を学び、
    会計数値で経営を管理する手法を学ぶ。
  • 誠実な技術経営人財を育成する。

図1 西河「技術経営学」の特徴

税金を払うと内部留保でき成長

西河洋一塾長は、常々「税金を払える会社にすること」「経営者は納税を目的に経営しなければならない」と、塾に来た経営者を指導している。
経営における「税金を払う」との意味合いは、健全な企業経営上での重要な経営目標である。投資資金を内部留保するには、利益を出して税金を払わないとできないし、内部留保が出来てないと、結果として自己資金だけで企業を大きくするための攻めの経営を独自に取り組むことはできないからである。

経営を繋ぐ技術と金

塾で心掛けていることは、経営戦略論やマーケティングなどの分野の理論の中から、平易で実践的に使える最小の知見を整理し、教育している。経営をオペレーションする上で必要なことは、学問的な各分野の知見を関連づけて、かつそれぞれを連携して説明することが必要である。
各分野を連携している基本要素に具現力である「技術(エンジニアリグ)」があり、企業の健康管理を可能とする「金(カネ)」の存在がある。

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講師のコメント

戦術、戦力を把握し戦略づくり

小平和一朗講師

経営戦略を作るには、強みの源泉であるエンジリアリングの存在を意識するとともに、戦略を具現化するエンジニアリングに裏付けされた戦術が明確でなければならない。企業力であるヒト、モノ、金という実現性のある調達可能な戦力が準備されて戦術である。
経営学ではよく戦略重視といわれる。だが、戦略だけが一人歩きしても、それを実行するために必要な技術の存在を意識した技術経営戦略でなければならない。

技術の存在を意識した経営

エンジニアリングを理解した組織構成員がいて、その技術が組織のヒトに根を張っていなければ、実行する戦術とならずに絵に描いた餅となってしまう。
塾では、常に技術と絡んだ経営を塾生に教えている。学んだ技術経営学をどう生かすかを報告する演習では、経営を支えるエンジニアリングの存在に常に言及することで、実践力が身に付く。この技術の存在を意識して取り組む経営が「技術経営」である。
あらゆる経営計画にお金を絡ませて具現化の確認をする事を教える。会計数値で、企業の日々の健康状態を把握できる。

「会計数値で企業の健康管理」と説く、講師の小平

研究報告の内容を経営に活かす

山中隆敏講師

西河技術経営塾で何を学んだかを整理し、研究報告書としてまとめるプロセスは重要である。
研究報告書は、関係者に自分の考え方を物語りとして伝えることで、善いアドバイスが得られるはずである。関係者から得られたアドバイスを真摯に受け止め、研究報告の内容を経営に活かし、実践して欲しい。実践してこそ自身の血となり肉になるはずである。
私が担当をする4つの講義「新期の市場を創生する等」からヒントを得てデジタル技術を用いて、ビジネスモデルを構築し、新サービスで新市場を攻める事業計画を作成できることを期 待している。
常に「顧客の利益」、つまり、顧客価値が提供できているかを意識しながら、売上十倍を目指して、前を向いて進んで欲しい。

「顧客価値が提供できているかを意識し、売上10倍に取組む」と語る山中講師

地球を俯瞰して広い視野で考える

淺野昌宏講師

七期生の皆さんには、グローバルな視点で、物事を俯瞰的に見る目を養って欲しいと願っている。
経済の世界ではグローバル化が進展している一方、政治の世界ではブレグジットやアメリカファーストの様にナショナル化に向かって流れている。これからの世界は、IT技術の急速な発展も相まって、ますます複雑化して行く。だからこそ、塾生の皆さんには、地球を俯瞰して、広い視野で物事を考えられるように、塾の講義を通じて勉強して戴きたい。

「これからの世界は、ますます複雑化する」と語る淺野講師

高い目標を設定し、自問自答する

杉本晴重講師

「場が人を育てる」「ビジネスは変化対応力」と言われる。塾生は既に経営者という場にあり、夢と熱い思いがある。しかし、夢の実現には、経営の基礎知識を持ちビジネスチャンスを捉え、果敢に挑戦する勇気と知恵、弛まぬ努力と粘りが必要だ。
塾生には、講義と演習を通して、自身で高い目標と課題を設定し、自問自答し、知恵を絞り、真の経営者、リーダーとは何かを学んで欲しい。私の担当の「モノづくり」では、ビジネスの基本要素である人、モノ、金、時間と情報の重要性を学んで欲しい。
ビジネスの舞台は、グローバルなスケールで展開している。塾生には、常にグローバルな視点から挑戦して欲しい。

「常にグローバルな視点から挑戦して欲しい」と語る杉本講師

社会的な役割を意識し事業に取組む

前田光幸講師

近年、金融至上主義や行き過ぎた株主優先主義、短期利益重視などむき出しの「私」が世界に蔓延している。それに引きずられ、我が国でも多くに企業において企業哲学の劣化が目立っている。
西河技術経営塾の講義では、そのような状況を客観的、批判的に見つつ受講生とともに、自社のあるべき企業像と、その構築について議論するようにしている。
塾のコースも年が明け、折り返しに入った。坂を登り終えて峠にさしかかり、自分の立ち位置や先の展望が見える時期に入った。 自社の事業を力強く展開する上で大事なことは、原点に立ち返ることである。事業の社会的な役割を強く意識しつつ、顧客のために従業員と一緒に何をすべきか、そして従業員のために経営者は何をすべきかを、常に忘れないことである。

「原点に立ち返ることである」と語る前田講師

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