一般財団法人アーネスト育成財団

技術経営人財育成セミナー(第28回)データサイエンス教育と起業

『データサイエンス教育と起業』

白川 清美(しらかわ きよみ)

日時 2022年8月25日(木) 18:30~20:00 (講演60分 討議30分)
場所 一般財団法人アーネスト育成財団事務所内 アクセスへ
参加費 Zoom参加者(無料)
定員 Zoom参加者(最大50名)
申込方法 FAX 03-6276-2424 または Eメールoffice@eufd.orgにて
主催 一般財団法人アーネスト育成財団

講演PDF(案内)(986KB)

立正大学データサイエンス学部では、企業や組織との連携によるインターンシップやフィールドワークといった実践的な学びによる「文理融合型」のカリキュラムで、データサイエンスを広く実社会に応用し、ビジネスをはじめとした社会のあらゆる現場で新たな価値を生み出す即戦力となるデータサイエンティストを養成している。*1
しかしながら、大学の4年間という短い期間で、データサイエンティストとしての最良の経験を得ることは、困難なことである。そのため、学生自らが「業を起こす」ことを目標にすることと、この学部で用意したデータサイエンティストのためのカリキュラムを履修することの相乗効果で、これまでの大学の教育では成し得ない成果が期待できる。
本講演では、立正大学データサイエンス学部の概要や学生が積極的に学習に取り組むための環境や企業との連携を紹介する。このことにより、「就職」を前提とした概念を覆し、「起業」のために、何を学習すべきかを考える場になる取組みを実施する予定である。
*1 https://www.ris.ac.jp/ds/

【講師略歴】

白川 清美(しらかわきよみ) 氏

<略歴>

青山学院大学経済学部卒業

芝浦工業大学大学院 工学マネジメント研究科修了

芝浦工業大学大学院 工学研究科 博士後期課程修了博士(工学)

2021年 (独)統計センター 退職

2021年 立正大学データサイエンス学部教授

詳細は下記URLを参照してください。
https://shirakawa-kiyomi.mystrikingly.com/

白川 清美(しらかわ きよみ)

『データサイエンス教育と起業』

司会(小平専務理事):講師の白川先生は、立正大学データサイエンス学部の教授で工学博士で統計のスペシャリストである。立正大学のデータサイエンス学部の立ち上げに際して、教授として赴任している。セミナーでは、データサイエンス学部の概要や学生が積極的に学習に取り組むための環境づくりや企業との連携の紹介、「就職」を前提とした概念を覆し、「起業」のために何を学習すべきかを考える場になる取組みについて、ご講演をしていただく。

白川講師

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講演概要

データサイエンスとは
データサイエンスとは、データから価値を創造する学問である。経済学部とか、他の学部と異なって、こういうものがデータサイエンスだという定義は現状ない。
データサイエンスっていう言葉を使った大学が出てきているが、みなそれぞれが違うことをやっている。データを実際に見ることから、宝物を見つけられるところを目指している。

大学の特徴
立正大学のデータサイエンス学部の特徴は、社会・ビジネス・観光・スポーツという四つのテーマで募集をしている。
社会では、公的統計のデータを扱う教員がいる。ビジネスでは、アプリを使って分析していく、今流行りのAI研究の人達がいる。
それから、観光がキーワードで人が集まるところの解析がある。皆さんが今スマホを持っていると思うが、GPSで今現在どこに何人いるとの情報が、簡単に手に入る時代になっている。

データサイエンスに注目
今なぜ注目を浴びているのか。基本的にはビッグデータという言葉が流行ったこと。あとは色々なモノにセンサーが付いていることで、今まで取れなかったデータが集まつたり、瞬時にデータが取れるようになった。
ビッグデータを分析できる計算能力のあるような人達が、何かの結果を導き出すということをやっている。その結果、今まで分からなかったことが分かってきた。
データサイエンス教育が必要だということである。

何をやったら良いのか分からない
実際にデータ分析していると、企業において人が足らなくなったという話もあるが、本当に実際にどれだけの人がデータサイエンスをやりたいかは未知数だ。
会社で「データサイエンスやってみたいか」と聞けば「やってみたい」と答える人は沢山いると思う。ただ、なかなか分析が難しかったり、実際に何をやったら良いのかが分からなかったりのケースもある。
企業として実際にAI予算を取って色々なことをやってみようと思ったが実際に結果が出てないというところもあれば、社員の方がそのAIに長けていて実績を残しているところもある。企業の中でも、うまくいっている会社と、うまくいってない会社がある。

理系文系に縛られないスキル
データサイエンスに求められるスキル、データサイエンスっていうことは一つの力だけでは分析することはできない。なので、このビジネス力とかで、データサイエンスとか、エンジニアリングデータを利活用する分野の知識が求められる。
理系文系に縛られない学びの重要性がある。このビジネス力だったり、データサイエンス、データエンジニアリングというのを、学部の学生が4年間の間で学ぶことは結構厳しい。
四つのテーマの中から一つ選んで、その中の一つから、自分のコースにあったスキルであったり、知識を身につけて、データサイエンティストを育成する教育に取り組んでいる。

カリキュラムの特徴
データサイエンス学部のカリキュラムには、専門基礎と教養があり、データサイエンスの基礎、価値創造基礎に進み、データサイエンス発展、価値創造発展で演習科目となっている。学部生が学ばなければいけないことが多くある。それをどう身につけていくかが問題である。座学ではなくて、実体験を経験させるところで、見つけさせるがことが必要かと思う。
AIのプログラミングとかを1年、2年でやる。自分の興味に合わせて様々な分野をやるのは2年からである。今回はコロナのこともあり、1年生2年生が自宅での勉強となったので、思うように進んでない。3年生4年生で実践を積んでデータサイエンティストになれる教育できればと思う。

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質疑応答

司会(小平):質疑にうつる。

質問(古谷規剛):データサイエンス教育と起業というテーマで講演を聴いた。最終的にそれがお客さんに受け入れられてお金に変わらないといけない。実際にデータサイエンスで、起業に結びつくような実例はあるのか。

回答(白川講師):起業したい学生は何人もいる。一番多いのはスポーツである。ただ、スポーツは、今データをどうやって取るかを、自分が実体験して自分が運動を知って、データを取っていくところである。今後分析した結果がどう使えるかで学生自体が分かってくる段階だ。埼玉の野球の顧問では分析関係者になってコンサルをしてお金を取っていく。既にモデル的には成り立っている。

質問(瀧川淳):実務よりの教育事業を請け負って、それで企業にこういった人材を供給していくという会社が成長している。何かビジネステーマを定めていくのか、データサイエンティストの教育でいくのか。お考えを聞きたい。

回答(講師):製薬会社は派遣を雇っている。実際にデータサイエンスの部分は外注化している。今と逆な部分がある。学部生が何人かでチームを組んで起業する。データサイエンスで起業する事例。データを分析する起業では派遣をしていく。大学とのインターンシップで繋がりができた企業の方でデータサイエンスに関心を持ってもらったところに派遣し、実際に学ぶのが良い。そこまでのスキルを持たせるのが大変だからだ。企業の中に入ったとしても考えられる力をつけることが4年間の間に必要かと思う。目的を持った解決ができる。それぞれ人と違うことが導き出せる人材の育成ができればと思っている。

質問(渡辺直子):大学で教えている中で、ビジネス的な考え方が必要と聞いた。そこを学生に教えるのは難しいと思っていて、どう学生に教えるのかをお聞きしたい。

回答(講師):経済学部の経済系を分析している人やイノベーションについて分析している先生とかいるので、そういう点では他のデータサイエンス学部と違って分析できる環境は整っている。そういう先生は私を含めて企業と連携している。企業での打ち合わせに連れて行って経験をさせる。先輩が打ち合わせしているのを聞きながら実際に学ぶ。

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